ボードゲーム印刷にみられるトラブルのおはなし

せっかく作ったボードゲームに「思ったのと違う!」とか「ここおかしい!」という場所を発見してしまうと悲しいですね。

製造して納品する我々もトラブルは痛くて苦くて辛いもの……。
できたら避けて通りたいのですが(泣)

起こりうるトラブルを事前に知っておくことはトラブルを未然に防いだり、お互いの事情を知ることにつながると思います。

発注者にも製造側にもとても大切なお話ですので、がんばってお伝えします!!

☆ボードゲーム印刷で起こるトラブルの例

①カードやチップ、箱の絵柄のズレ
②色のブレ
③印刷面に小さな点がある
④カードやチップの端が割れて白く見えている
⑤ボードが反る
⑥欲しい期限に間に合わなかった

代表的なものだけでも、こんなにあります。

これらを1つずつ対策を交えて、お話ししていきます!


まずは──

①カードやチップ、箱の絵柄のズレ

<要因>
紙は自然由来のものであり、紙そのものが伸びたり縮んだりする際の誤差はどうしても生じてしまいます。

さらにボードゲーム印刷は工程(断裁・印刷・表面加工・エンボス・貼り合わせ・抜き)が多くなるため、それも要因になります。

(弊社では、各工程の中で技術を持った職人がチェックをすることで、できる限りズレをおさえる努力をしています!)

<対策>
カットラインぎりぎりに配置されるデザインは少しのズレがとても目立ちます。

3mmほどカットラインから内側へ控えるとズレが目立ちにくくなります。

また、そもそもデータ位置がズレていると当然印刷もズレてしまいますので、テンプレートへの配置の際にお気をつけいただけると製造側としても助かります。

②色のブレ

<要因>
並べたり、手札として持つボードゲーム(カードゲーム)では、共通面において色ブレがあるとゲームの勝敗や面白さを左右してしまう可能性があります。

特にオフセット印刷は同じデータを印刷しても同じ色にはならないと思っていただいた方が良いかもしれません。

版(1シート)の上で配置された場所によっても異なることもあります。

機械個体の差、刷版、インク、オペレーターさんなどなど、その要因を知れば知るほど色合わせの難しさがあるなぁと日々実感しております。

また、データを作成するモニター上の色は光(RGB)で構成されています。
紙に印刷した状態とは異なることもご承知おきください。

<対策>
微妙な混色のベタを避ける(淡い色は特に注意)と良いと思います。
※経験値から個人的にたどり着いた一例です。

濃度の低い淡い色はわずかなインクの量によって色が変化しやすいと思います。

模様や写真のような絵柄は目の錯覚で色ブレの差が感じにくいと思います。

一番のオススメは、3mmの白い(印刷しない)縁どりを作ることです。

カードとカードを隣り合わせた時に3mmの隙間が開くことで比較がしづらくなるからです。これは、①の絵柄のズレを軽減することにもつながります。

同系色のものはできるだけ配置をまとめる(近くに置く)ことも色の差が出にくくなると思います。


弊社では、色見本を確認しながら印刷をする「立ち合い印刷」も併用しております。

ロットと費用の兼ね合いからすると1,000ゲーム以上のカードの場合にオススメです。

③印刷面に小さな点がある

<要因>
多くの印刷用紙は、製紙マシーンでロール状に巻き取りながら作られます。

ロール状の紙をカットして平判(枚葉)の状態でメーカーさんから各倉庫・工場へ出荷されます。

それをさらに小さくカットして印刷したり表面加工をしています。

このカットする際に、発生する大変小さな紙のクズ=紙粉(しふん)が印刷の版(ハンコ)についてしまって、印刷されない部分が白い小さな点になってしまう可能性があります。

<対策>
根本的な対策は、気をつけて印刷するしかないと思います。

ですが特に「濃度が高くて広い面積のベタ印刷」ですと特に目立ちやすいです。

細かな幾何学模様やパターンだと発生しても目立ちにくくなります。

それぞれのケースによって許容範囲があり、ゼロにするのは不可能に近いのです。

納品された印刷物に気になる点を見つけた時は発注先の印刷会社さんに確認しましょう。

④カードやチップの端が割れて白く見えている

<要因>
カードやボードを断裁・抜き加工する際に、切断面には強い力がかかります。

その時に印刷面や紙の表面が少し破れてしまった状態です。

<対策>
紙の端3㎜以上を印刷せず白いままにする。

濃度の高い色では目立ちやすくなります。

重要な情報(数字やスート等)を紙の端に持ってくる時は3㎜以上内側に配置する。

⑤ボードが反る

<要因>
表裏で表面加工や貼る紙が異なる場合に起こりやすいです。

置いてある場所の湿度・温度にも影響を受けて反ることがあります。

<対策>
片面だけの表面加工、異なる紙同士の貼り合わせを避けてください。

エアコンの風が当たるなど、乾きやすい場所に置くのは避けましょう。

⑥欲しい期限に間に合わなかった

<要因>
ご相談開始からデータ入稿~印刷加工開始~納品までは、早くて約2~3か月かかっています。(ご相談・ご注文内容にもよる)

複雑な内容や様々な課題解決に時間を要すると、半年以上かかることもあります。

弊社では、データ入稿完了から製造完了(発送)には1か月から1.5か月くらいかかります。

<対策>
印刷会社により、入稿の締切日程や製造期間、納品日に違いがあります。
検討時からホームページなどで確認・問い合わせしましょう。

慣れていない方や複雑な加工を相談したい方は、特に早めに印刷会社さんへ相談開始をしましょう。


イベント出展等で期限が決まっている時は「このイベントに出ます」「この日までに欲しい」と、ご相談開始時にお知らせいただくのも良いと思います。
(相談したら何でも間に合うという意味ではありません)

近頃は国内外問わず物流の予測できない遅延などが発生しています。
どなたさまも余裕を持ったご相談、ご発注が良策だと思います。

☆トラブルを防ぐために

入稿前の10分チェック☆

・塗り足しは指定ラインまでありますか?

・配置の場所やズレ、表裏、箱の身とフタの整合確認をお願いします。

・イラストのリンク切れや配置の漏れはないでしょうか?

・文字のアウトラインをお忘れなく。

・色は「CMYK」でご指定お願いします。

・各種効果はラスタライズをお願いします。

お願いです☆

・テンプレートはご自身で修正しないでください。

・発注後、入稿後の仕様変更はミスの元です、発注・入稿は慎重にお願いします。

・専門用語がわからない場合は、気兼ねなく質問してください。

・言葉で説明しづらい場合は、手書きメモや写真も活用してください。

・納品された品物の気になる点は、SNSでの発信・購入者様へ連絡する前に、まず発注先へ問い合わせをお願いします!
(SNSで先に発表されているとわかると激しく凹みます。)

終わりに

メーカー品と一般の方の作品とが店に並ぶ時代へ

最近は100円ショップでもボードゲームやカードゲームが気軽に買えるようになりました。
カードの質などもとても素晴らしいです。

メーカーさんやサプライヤーさんが用意する絢爛豪華なコンポーネントのゲームも話題になります。
同人と呼ばれる一般の作家さんが自費を投じて作る際も、メーカー品と同じクオリティや値段を求められるという認識で「ゲームとしての質」はもちろん、「質が良くて安い印刷加工」を日々追求されています。

しかし、メーカーさんやサプライヤーさんのゲームは何千個・何万個という単位で発注・製造されていますので、金額やコンポーネントのオリジナリティ、安定した質の面、単価で差が出てしまうことは、世の中の仕組み、物理的な問題として避けられません。
一方で、お店に並ぶボードゲームを「メーカー品」「同人作品」と見分けることも難しいほど全体のクオリティが上がっていることも確かです。

海外で作られたボードゲームの印刷ミス、説明書の不備、抜き加工のズレなどが購入者のSNSで並べられ、弊社にご注文いただく個人製作者さまの納品物への評価も日々厳しくなっております。
なるべくご意向に沿いたいと耳を傾け、製法をご提案し、何かあれば原因や改善方法を模索する日々です。
ご発注者さまと受注した側の関係ではありますが、共に良いものを作っていくチームとして、「作りたい思い」を叶えるボードゲームに仕上げたいと考えております。

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